相原の住宅

所在地東京都相原市

竣工2010

構造MID研究所

照明稲葉裕 / FORLIGHTS

施工三昭建設

撮影淺川敏

※KUS一級建築士事務所での作品

 

東京都町田市郊外に、50年ほど前に造成された住宅地の周縁に建つ、夫婦2人のための小住宅です。
敷地は、北側に雑木林の斜面をもつ特徴的な場所で、自然に親しむ里山の生活を好むクライアントが、自分達らしい家を作るために見つけてきた土地です。この敷地の特徴を最大限に活かしながら、クライアント夫婦にふさわしいライフスタイルを実現することがこの住宅のテーマです。
まずは、敷地の南側に菜園を設けることとなりました。1階のダイニングキッチンは、大きく張り出した庇の下のテラスや菜園へと繋がる活動的な場所であり、そこに面する2階のリビングと書斎は、大きな窓から北斜面の雑木林の緑を取り込み、落ち着いた場所として設えました
。 2つのスペースに大きな屋根をゆったりとかけ渡し、ひとつの屋根の下で、動と静の空間が緩やかに繋がり共存する現代版の田舎住宅を目指しました。 大屋根の木架構は、シングルの梁をダブルの梁で挟み込んで継いだ重ね梁で構成され、敷地形状と斜面にフィットさせながら、折れまがった屋根面を形成しています。 屋根は南面で大きく張り出した深い庇となり、外部と内部をつなぐ重要なスペースを生み出しています。この住宅の玄関口であり、天気の良い日の屋外ダイニングスペースであり、日射の強い日や雨の日の農作業の場と、様々なシチュエーションでの活動を可能にします。
同時に、深い庇は夏の強い日射を遮り、この住宅では東京の蒸暑い真夏でさえもエアコンを使用せずに過ごすことができます。吹抜けの手すりは、冷温水による輻射式冷暖房装置となっており、夏は南庭から北側の雑木林へと通り抜ける風を心地よく冷やし、冬はダイニングキッチンの床暖房やシーリングファンと合わせて吹抜けの空間を効率よく暖め、住人にも周辺環境にも優しい方法で、良好な温熱環境を作り出しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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