時花-トキハナ-
秋田公立美術大学新任教員14の挨拶状

会期2013/6/1~2103/11/8

会場旧料亭松下2階大広間

展示デザイン・会場構成 小杉栄次郎

企画・統括 岩井成昭

展示インストール スーパーファクトリー

14枚の写真が浮遊する薄暗がりの空間を、鑑賞者が散策している情景が最初のイメージだった。
いわゆるホワイトキューブのような展示空間であれば、作品自体を主役とし、空間の存在を消去する方法を模索しただろう。しかし、今回展示場所となったのは、歴史と趣がある日本建築、旧割烹松下の大広間である。壁や天井面には木の肌や床畳の表情が現れており、床の間や違い棚、障子や襖などの手の込んだ造作や建具に囲まれている。三方の窓からは光が差し込み、内部からは千秋公園の森の木々を望むことができる。これら日本建築特有の要素により生み出される陰影の中に14の作品を一度溶かし込み、そこから教員それぞれの個性が、再度、ゆったりと立ち現われてくるインスタレーションを目指した。
大伸ばしにプリントされた作品は、三角柱の立体オブジェへと姿を換え、大広間に浮遊する巨大な行灯となった。行灯は他者を照らす。他者の光によって照らされた写真作品が暗がりの中に浮かび上がる。お互いを照らし合うことで、独立した個性が総体としてひとつの「カタチ」となる。それは、専門分野の異なる教員が集まり共鳴し合う将来の秋田公立美術大学を想い描いたものだ。

 

 

 

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