秋田公立美術大学開学10周年記念展
美大あきび10年

会場秋田市文化創造館

会場設計小杉栄次郎

会場設営ワイズ株式会社

撮影草彅裕

 

秋田公立美術大学(秋美)の10周年記念展覧会の展示計画である。
全体を構成する6つの章を順に巡ることで、鑑賞者に秋美への入学から卒業までを追体験してもらうことを意図し、膨大な作品数を展示するための壁面量を確保しつつ、文化創造館の多様な空間特性と、鑑賞者が楽しく館内を迷い巡るような空間体験を可能とすることを目指した。

かつて藤田嗣治による「秋田の行事」の展示室であった大空間には、このスケールに応答する様々な形状の三角柱を複数個配置した。展示構成の最終章としてこの大空間にまとめられた作品群の展示壁面を確保すると同時に、それらを緩やかにゾーニングすることを意図した。3階回廊の床とおよそ同じ高さの三角柱を、ニュートラルなオブジェとして余白の中に点在させることで、曖昧な境界を生み出し、展示クライマックスの章としての全体性を保持しながら、7つのゾーンも形成する展示空間を実現できたと考えている。また、これら三角柱の内部は展示空間・作品のバックヤードとして、電源やデジタル機材の配線スペース、全国から輸送された展示作品の梱包資材倉庫としても機能している。

因みに、展示会場となった秋田市文化創造館は、小杉栄次郎が改修設計のアドバイザーを務め、2021年に開館した。2024年には国際機関DOCOMOMO(ドコモモ)の日本支部より、「日本におけるモダン・ムーブメントの建築280選」に秋田県で初めて選出されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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